ちばてつや先生総評

大賞（賞金100万円）
『妖の狩人』

港 發  (兵庫県・24歳)  50P

ストーリー
妖害対策局に配属された藤原ゆかりは、討伐実績１位の変人・萱野椎菜とバディを組むことに。萱野から妖の狩り方、命の向き合い方を学ぶ藤原。そんな二人の前に藤原の姉を殺した妖が現れる。

ちばてつや先生 選評
現代の社会にもはびこる「妖」と闘う狩人たち。双子の姉の復讐に燃える少女も、大柄な萱野の茫洋としたつかみどころのないキャラクターや、老課長の個性もしっかり描き分けられていてとても良いね。姉の死に泣きあかしたために、涙でただれた頬のゆかりが、やさしい姉の顔を持つ「妖」に対峙する場面は迫力満点。ラスト、狩人をやめ料理の勉強をやり直すのは、「妖」の不思議な味を知ったから‥と、ちょっとは匂わせてもよかったかな。

2025年5月26日（月）発売 ヤングマガジン26号掲載！
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優秀新人賞（賞金50万円）
『ローワライ』

雪野 朝哉  (北海道・26歳)  38P

ストーリー
耳が聞こえない大学生・平里は、おせっかいな学生手話バイト・嶋に連れてこられた遊園地で、他の客から手話を使っていることを嘲笑される。憤る主人公はその後訪れた劇場で、人を「笑わせる」漫才師たちを生で見て強く惹かれ、「笑われる」のではなく「笑わせる」漫才師になることを決意。学生漫才の舞台に挑戦する。

ちばてつや先生 選評
耳が聞こえない相方と漫才をやる‥という、とても難しい話に挑戦したね。キャラクターも背景もプロ級。演出もセリフもテンポ良く読ませる力を持っている。ただ、登場人物のほとんど、特に主人公の二人が眉間にシワを寄せ、いつも神経質な怒り顔なのがもったいないね。のどかな顔だが、実は心の中は‥という表現を覚えると作品の世界が更に広がるはず。

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優秀新人賞（賞金50万円）
『欲の沁み』

礒部 潤 (大阪府・26歳)  43P

ストーリー
自分の父親と不倫している女性に、娘が声をかける。「お父さんとセックスしている所を覗かせてください」―。性に溺れる父親、自分の身が何よりも大切な愛人、そして感情の読めない娘。人間の「欲」が交差する先にあるものとは‥‥。

ちばてつや先生 選評
人間が生きていく中で、一番見られたくないと思われる相手と、見られたくない場面ばかりで構成された、なんともおぞましい稀有な作品だね。読み返せば読み返すほど、ぞっと鳥肌が立ってくる話だが、ある意味こういう目を背けたくなるような世界を描くのが得意な作家。人物描写も背景も演出も優秀なので、未開のジャンルを開拓できる実力者かも。

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準優秀新人賞（賞金30万円）
『BLUE DERAIL』

春星銀  (茨城県・21歳)  50P

ストーリー
高校三年生、夏。周りは本格的に進路を見据えだした中、いまだ悩み続けるツバメ。自分の好きな美術の道を目指すか、親に言われるがまま国立大を目指すか‥。そんな時、浮きがちなクラスメイト・ヒバリとの共通点を見つけて―。

ちばてつや先生 選評
ツバメの母親は息子の気持ちを知ろうともしないマイペースな親。ヒバリも母親があろうことか、我が娘の美貌に嫉妬し暴力をふるうような異常な家庭環境に育っているので、他の学友ともなじめず苦しんでいる。その二人がお互い美術に興味がある事から影響を受け合って自己に目覚めるラストの表現はホッとする。大勢出てくるキャラクターは皆可愛いがタイプが似ているし、コマ割りを細かく複雑に描きすぎて読みにくいのは残念だったね。

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準優秀新人賞（賞金30万円）
『to.』

浅田 らぶり  (愛媛県・26歳)  49P

ストーリー
極寒の世界で、居住区の暖房設備への燃料の投入を命じられたヒカリ。外に出ることすら危険な状況の中、「命に代えても燃料を入れてこい」と老人たちに言われ、自身の存在意義に葛藤する。しかし設備を探して外を一人歩き回っている最中、「ナナ」と名乗る機械の身体をした不思議な少女と出会うのだった。

ちばてつや先生 選評
「人間」が出てくるのだが、近未来の地球の話なのかな‥‥? ドラマの場所、時代、設定等がわからないまま始まっては、読み手はストーリーの中に入っていけないぞ。それにしても、広くて大きく不思議な世界を表現してドキドキさせる。演出力を感じさせる作品なので次回作が楽しみ。次はもっとわかりやすい設定を決めて挑戦しよう。

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佳作（賞金20万円）
『僕とカンちゃん』

赤木 湯一  (長野県・31歳)  50P

担当編集者 選評
太っちょで飄々としたカンちゃんのキャラクターが素晴らしかったです！ 「ブラック企業に勤める男のもとに、小学生時代の友人が当時の見た目のままやってきた」というあらすじだけでも面白いのですが、最後には泣かせる演出もあり、非常に見応えのあるお話でした。今後は見せ場の意外性と画力をさらに上げていきましょう！

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佳作（賞金20万円）
『そういうとこだよ』

八貫 徹世  (東京都・31歳)  46P

担当編集者 選評
とにかく展開がアツい！ ツカミもよく、冒頭から惹きこまれました！ 最後の見開きや、あえてゴールシーンを見せない演出も素晴らしかったです！

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佳作（賞金20万円）
『愛しのジーナ』

びちゃん  (長野県・24歳)  49P

担当編集者 選評
表現力が高く、キャラクターの可愛さを描くのが非常に巧い。漫画としての画面作りとキャラクターの掘り下げを意識して描き続けて欲しい！

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佳作（賞金20万円）
『夏と野球と君の髪』

りょう  (埼玉県・24歳)  29P

担当編集者 選評
爽やかな高校生活の非常に短い一幕、高校生ならではの悩みに翻弄される2人の男女の様子が、セリフだけでなく、繊細なタッチで描かれる顔の表情や手足の動きにもよく表現されていました。冒頭3ページの女の子の髪型だけを詰め込んで描写した21コマに、作者の作家性がよく現れています。

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佳作（賞金20万円）
『放課後無修正』

広瀬 海斗  (新潟県・19歳)  29P

担当編集者 選評
冒頭2ページでメチャクチャ心を摑まれました。空でキャラの感情を表現する演出も素晴らしく、読後感の清々しさが忘れられません。

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佳作（賞金20万円）
『しにくるひとのおちざるはなし』

夢野 都月  (大阪府・33歳)  47P

担当編集者 選評
画力と生々しい心情描写が秀逸。画力が即連載レベルだが、救いがない物語になってしまっていたのが勿体ない。次回作では読者を楽しませるという意識がほしい。

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佳作（賞金20万円）
『ミスター・マイフレンド』

島田 けんじ  (東京都・28歳)  50P

担当編集者 選評
自我を持ったロボットの世界で、人間に憧れるロボの少女。ただ人間なりたいだけでなく、「夢」をみたいという設定が秀逸でした。キャラのセリフ回し、舞台装置もとても良かったです！

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佳作（賞金20万円）
『『寝過ごした先で』

寺崎 温 (京都府・20歳)  48P

担当編集者 選評
とても繊細に描かれた背景と表情が素晴らしいです！ どんどん作品を作り上げて、自分の表現を見つけてみてください！

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期待賞（賞金10万円）
『銀の環』

宇藤 あかり  (埼玉県)  50P

担当編集者 選評
とてもクオリティが高い原稿で、ミニマルながらしっかりと描ききっているし、日常の中で起こり得るギリギリの非日常を描く感じが好印象でした。話の展開に裏切りが少ないのが少しもったいなかったです。

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期待賞（賞金10万円）
『時を紡ぐ』

庵ノ雲  (27歳)  50P

担当編集者 選評
娘を想う母親として、そして殺人犯の過去を知った一人の人間として、場面ごとの激情の描きっぷりが見事でした！ ただ展開に合わせてキャラを都合よく動かしてしまった印象もあり、それゆえ予想内に収まってしまったかなと思います。冒頭とラストの演出を合わせる構成はとてもよかったです！

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期待賞（賞金10万円）
『萌え出づる情熱よ』

昌谷 律太郎  (東京都・27歳)  49P

担当編集者 選評
キャラクターの見せ方が面白かったです！ 後はとにかく原稿を磨き上げましょう！

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期待賞（賞金10万円）
『金魚のおんがえし』

浅瀬 水面  (愛媛県・20歳)  48P

担当編集者 選評
とにかく怖い作品でした！ ラスト10Pの怒涛の展開が素晴らしいです。人魚となったハナのビジュアルが非常に可愛らしく、序盤で読者を油断させたことによって最後の恐怖が際立ったと思います。あとは画力をもう一歩！

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期待賞（賞金10万円）
『はじめてのおつ◯い』

牧  (愛知県・26歳)  40P

担当編集者 選評
キャラがバツグンの姉妹の掛け合いが独特で最高！ 少し長く、見せ場が盛り上がりきらないのが勿体無いので次回はより狙いを定めた内容で攻めましょう！

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期待賞（賞金10万円）
『転がる金字塔』

ぽる谷 何  (東京都・24歳)  39P

担当編集者 選評
単にタンスを運ぶだけの話なのになぜか面白い‥‥。この物語の魅力は、作者によるオリジナリティ高い話の展開と、軽やかに跳ねるキャラクターたちの動きだけでなく、詳細に描きこまれた絵によって特徴づけられています。

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期待賞（賞金10万円）
『無敗の男』

江尻 まや  (富山県・30歳)  47P

担当編集者 選評
シンプルなストーリーラインと魅力的なキャラで構成されているレベルの高い読み切り。世界設定に既視感やリアリティのなさが出てしまっていたので、1つ爆発的なオリジナリティが欲しい。

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期待賞（賞金10万円）
『春とパップ』

あろめみ  (静岡県・26歳)  29P

担当編集者 選評
可愛いキャラクターと独特の世界観を魅力的な絵で描き上げた作品。平坦な展開と主人公の動機の曖昧さから物語の筋がぼんやりとしてしまったのが惜しい。次回作では読者とのコミュニケーションを意識して欲しい。

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期待賞（賞金10万円）
『アイネーズ』

真部 達乃  (三重県・20歳)  48P

担当編集者 選評
腕が大砲のアイネーズと変態な武器マニアのジュウゴ、敵のグエンと全員キャラが立っていました。次回は感情をより丁寧に、そして画力のアップを目指していきましょう！

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期待賞（賞金10万円）
『リターンドライバー』

隼 のぶを  (兵庫県・24歳)  40P

担当編集者 選評
車の表現に迫力とこだわりを感じました！ これからはオリジナリティも作り上げてみてください！

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期待賞（賞金10万円）
『Life's a Bitch』

岡本雄一  (東京都・21歳)  26P

担当編集者 選評
ハードボイルドな一作。現代のアメリカ社会にも繋がる設定などから伝えたいテーマがビシバシ伝わってきました！ あとは、読み筋を整えるだけ！

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期待賞（賞金10万円）
『春散』

宮麿  (京都府・22歳)  48P

担当編集者 選評
状況により激しく変化する主人公の顔や、物語に説得力を持たせる背景の丁寧さなど、絵の描写力が見事でした。医療現場に関する作者の広範な知識も随所に見られ、大変読み応えがありました！

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