新人漫画家さんのために、大ヒット作家に「人気作を生む秘訣」をお聞きするこの企画。
三田紀房先生、門馬司先生、小川亮先生という豪華メンバーに登場いただきます!

今回お話を伺ったのはシリーズ累計200万部を突破した『満州アヘンスクワッド』の原作者、門馬司先生!
全4回にわたってインタビューを掲載します。

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【第2回】魅力的な主人公×サブキャラがマンガの中心! 読者を惹きこむキャラクターの作り方


――『満州アヘンスクワッド』は多彩なキャラクターも魅力的です! 特に主人公である日方勇の仲間たちはそれぞれのキャラクターが粒だっています。脇役を描くときに意識していることはありますか?

門馬
サブキャラクターは、主人公と違う部分を持っていて、主人公にできないことができる存在として作っています。
例えば麗華(リーファ)は明確な目的を持って動いているキャラクターで、彼女が勇をグイグイ引っ張っていくことで物語が動いていきます。やっぱり1人はこういう推進力を持ったキャラクターが必要ですね。
静は何を考えているか分からない頭のキレるイケメンキャラで、勇の朴訥な感じとのコントラストを意識しています。
バータルは最初から女好きのコメディチックなキャラクターとして登場してそのまま仲間に入ったので、出すだけで場が明るくなります。しかも動けるし頭もキレるし多言語も喋れるし‥‥。
正直、超便利なキャラクターですね(笑)。
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▲バータルの登場シーン。門馬先生曰く「こういうキャラがいたら面白いな」から作り始めたキャラが後々使いやすくなることが多いという。

――各キャラクターはそれぞれの強みや活躍の場を持っていますよね。そういった「役割」からキャラクターを作ることが多いのでしょうか?

門馬
いえ、普段はキャラクターの外見から考え始めることが多いんです。その最たる例がキリルで、既存のキャラクターと被らないビジュアルを‥‥というところから入って、金髪碧眼のロシア人になりました。

――そんな経緯があったんですね!

門馬
もちろんキリルを出す上で「移動手段が欲しい」という意図はありましたし、物語の中でどう活躍するかという「役割」は当然キャラクターを作る上で重要なところです。例えば關(クワン)は物語が進むにつれて勇たちの怪我が増えるので味方の医者が必要だと感じて生まれたキャラクターです。

――キリルや關が加わったことで勇チームがますます国際色豊かになって、まさに当時の「満州国」という地域を象徴するかのようです。

門馬
たしかに! ただ、これも意識したわけじゃなくて先程言った通り主人公である勇と対比させてサブキャラクター達を作っていったら自然とそうなったという話なんです。
結果論ですが、いいチームになったなと思います。
――個性豊かな仲間に囲まれる主人公の勇も、アウトローな道を選びながらも誠意ある人間性の部分が揺るがないのでずっと応援して読み続けられます。

門馬
主人公というのは漫画の中で一番読者に近い存在です。その好感度を落とさないためには、例えば悪事に手を染めたとしても、それに足るだけの動機や、そこに至るまでの心の葛藤を丁寧に描いてあげる必要があります。

主人公は弱くていいんです。悩んでいいし、足掻いていい。
主人公のそういう姿を見せることこそが大切です。


また、主人公がサブキャラクターの魅力を引き立たせる一方で、サブキャラクターが主人公のキャラを支えているという側面もあります。例えば「物語の展開上必要なステップだけど勇はやらなそうだな‥‥」と思うアクションが出てきたときは、無理に勇にやらせるより他のキャラクターに任せてしまいます。彼らはチームなので、そうやって進んでいくことができるのです。

――主人公とサブキャラクターはお互いに支えあっているのですね!
  

まとめ ~魅力的なキャラクターの作り方~

①主人公は弱くていい! 悩んで迷うその姿を描け!
読者との近しい距離感を保ち、応援される主人公を描こう!
②サブキャラクターは主人公との対比から作れ!

主人公とは違う部分を持つのがサブキャラクター。それぞれの強みを活かして活躍を描こう!

門馬先生、ありがとうございました!
次回はキャラクターのリアリティの高め方です。お楽しみに!

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